blog

歯の健康が肩こりに深く関係していることをご存じでしょうか。歯の治療を受けることで肩こりが解消する事例もあることから、関係があることは紛れもない事実と言えるでしょう。今回は、肩こりと歯が関連している理由や知っておきたい歯のトラブルとその治療法について、詳しくご紹介します。

肩こりとは

肩こりとは、肩や首、背中の筋肉が緊張してこわばり、痛みや重苦しさなどを感じる状態です。長時間のデスクワーク、過度のストレス、運動不足、睡眠不足など、様々な要因で肩こりが引き起こされます。

肩こりの影響で頭痛や腰痛が起きることもあるなど、全身の不調に繋がるため、早めに対処しなければなりません。しかし、マッサージやストレッチでどれだけ対処しても、再発を繰り返すケースがあります。

もし、歯にトラブルが起きているのであれば、それが肩こりを引き起こしているのかもしれません。

肩こりと歯が関連しているといわれる理由

肩と歯は一切関係がないと思われるかもしれませんが、実は深く関係していることがわかっています。歯のトラブルによって歯茎や顎の骨にダメージが及ぶと、周辺の筋肉が緊張して肩こりが引き起こされます。

肩こりを引き起こす恐れがある歯のトラブル

肩こりを引き起こす恐れがある歯のトラブルについて、詳しく見ていきましょう。

虫歯

虫歯とは、虫歯菌が糖分を餌に酸を代謝して歯を溶かす病気です。歯が溶けても唾液の作用で元に戻るのですが、糖分が口の中に長時間留まることで、唾液の作用が追いつかなくなって歯が溶けます。虫歯が進行すると、やがて歯の神経に到達し、激しい痛みを引き起こすため、できるだけ早く治療を受けることが大切です。

歯の神経に達した虫歯を放置すると、やがて痛みが消失します。これは、痛みを伝えるための神経が死んでしまったからです。決して虫歯が治ったわけではありません。さらに放置すると、歯の根の先に膿が溜まり、再び痛み出す恐れがあります。

歯周病

歯周病とは、歯周病菌が出す毒素が歯茎や顎の骨を溶かす病気です。顎の骨に支えられている歯が抜け落ちる恐れがあるため、早期の治療が重量です。しかし、歯周病は静かに進行する病気であり、自分で気づくことが困難です。

歯磨きのときの出血、歯茎の赤みや腫れなどがある場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。さらに放置すると、歯がゆれてきます。ここまで進行すると、抜歯が必要になる恐れがあります。

歯周病は、糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞などと関連していることが判明しており、生命に危険が及ぶ病気です。

不正咬合

不正咬合とは、歯並びが悪くて噛み合わせがずれている状態です。歯と歯がうまく噛み合わないと、周りの歯に負担がかかったり、ものをうまく噛み切れなくなったりします。また、歯並びが悪いことが気になり、人前で口を開けて笑えなくなったり食事をとれなくなったりする場合があります。

不正咬合を放置すると、顎関節に負担がかかって顎関節症になる恐れもあるため、早めの改善が必要です。なお、顎関節症も肩こりを引き起こす病気の1つです。

親知らず

親知らずとは、上下左右に1本ずつ生える歯です。成人してから生えてくることが多いため、親を知らない歯という意味で親知らずと名付けられました。上下の親知らずがまっすぐに生えており、トラブルを引き起こしていないのであれば抜歯の必要はありません。

しかし、横向きや斜めに生えていたり、一部が歯茎に埋まって炎症を引き起こしていたりする場合は、抜歯することが一般的です。治療しても再び症状が現れ、歯周組織の破壊が進むためです。

合わない入れ歯

入れ歯が合わない場合、よく噛めなくなります。その結果、特定の歯に負担がかかり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。入れ歯を入れてすぐの頃は、合わないことが通常です。それを入れ歯が自分に合っていないと思い込んで使用するのをやめると、歯がないところに隣の歯が倒れてきて、歯並びが大きく乱れます。

入れ歯は3ヶ月に1回程度の頻度で調整しながら使うことが大切です。

歯を治療することで肩こりが解消する場合がある

歯のトラブルが原因で肩こりが起きていた場合は、トラブルを解消することで肩こりが改善する可能性があります。親知らずを抜歯してから肩こりに悩まされなくなった方もいるほどに、その影響は大きいのです。

知っておきたい歯科治療の方法

この機会に歯の治療を受けてみようと思った方に向けて、歯の治療について詳しくご紹介します。

虫歯治療

虫歯治療では、虫歯になった部分を削って詰め物や被せ物をします。一度削った歯は二度と元には戻りません。虫歯の再発を繰り返すと削る場所がなくなっていき、やがて天然の歯質のほとんどが失われます。そうなれば抜歯を余儀なくされてしまいます。

また、歯の神経に虫歯が達した場合は、根管治療を行います。根管という神経が入った管の中を清掃・消毒して薬を詰め、被せ物をする治療です。これにより、歯を温存することができます。

歯周病治療

歯周病治療の基本は歯磨きです。歯周病菌が潜む歯垢を徹底的に除去しつつ、定期健診で歯のクリーニングを受けて、磨き残した歯垢を取り除きます。また、歯のクリーニングでは、歯磨きで落とせない歯石も除去できる他、歯の着色汚れも解消できます。

歯周病が進行すると、歯茎を剥離させて目視で歯垢や歯石を除去するフラップ手術が必要になります。その他、歯周病によって失われた歯周組織を回復させる歯周組織再生療法もあります。歯科医院によって治療方針が異なるケースもあるので、納得した上で治療を受けられる歯科医院を見つけましょう。

矯正治療

不正咬合の改善には、矯正治療が必要です。ブラケット矯正と呼ばれる矯正治療では、金属の矯正装置を使用します。口を開けたときに目立ちますが、ほとんどの症例に適用できるというメリットもあります。

また、近年話題のマウスピース矯正は、透明のマウスピースで矯正するので、矯正装置の見た目を気にしなくて済みます。ただし、ブラケット矯正と比べて適用できる症例が少ないので、まずはマウスピース矯正を適用できるか確認が必要です。

親知らずの抜歯

親知らずを抜歯する際は、必ず麻酔をします。親知らずは複雑な形をしていることが多く、場合によっては細かく砕いて抜歯します。親知らずの根の近くには、重要な神経と血管が通っているため、事前の検査で位置関係を把握しなければなりません。

また、優れた技術が求められるため、症例によっては大学病院など大きな病院を紹介されるでしょう。神経が損傷すると、顔面の一部が麻痺する恐れもあるため、患者としても慎重に歯科医院を選びたいところです。

まとめ

肩こりと歯のトラブルは深く関係しています。もし、虫歯や歯周病などがあるなら、治療を受けてみることをおすすめします。歯のトラブルを放置すると、肩こりだけではなく頭痛や腰痛にも繋がる恐れがある他、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが上がり、命を落とすことになりかねません。健康寿命を延ばすためにも、歯のトラブルと肩こりの両方にしっかり対処しましょう。